感染性心内膜炎と矯正治療について

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感染性心内膜炎と矯正治療について

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感染性心内膜炎と矯正治療について

感染性心内膜炎と矯正治療について

こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。

「心疾患がある場合矯正治療はできるの?」ということで、今回は感染性心内膜炎と矯正治療についてお話したいと思います。

感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン (2017年改訂版)から引用しております。

 

感染性心内膜炎について

感染性心内膜炎とは、「弁膜や心内膜,大血管内膜に細菌集蔟を含む疣 腫(vegetation)を形成し,菌血症,血管塞栓,心障害な どの多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である」と記載されています。難しい内容ですが、簡単にいうと心臓に感染が起こり問題となる病気というイメージで良いかと思います。

歯科の領域で問題となるのは、すでにこの感染性心内膜炎になってしまっている方の歯科治療というよりも、心疾患の既往歴があるため感染性心内膜炎を発症するリスクが高く、歯科治療の際に気を付けなければならないことです。

 

感染性心内膜炎のリスクについて

一般人口における感染性心内膜炎の発症率は0.003~0.007%とされています。

これまでの疫学研究から、さまざまな心臓疾患患者における感染性心内膜炎 発症リスクは健常人よりも高いことが示されている一方で、心疾患患者のなかにも感染性心内膜炎の発症リスクが健常人とほぼ同等の人が存在するようです。

感染性心内膜炎のリスクという表現については、感染性心内膜炎発症時にとくに死亡などの重篤な結果を招く可能性の高い一群を高度リスク群、そうでないものを中等度リスク群と分ける考え方が一般的とのことなので、単純に発症リスクというよりも重症度リスクというイメージのほうが適切かもしれません。

つまり低度リスク群の患者は感染性心内膜炎を発症する可能性が低いのではなく、感染性心内膜炎になってしまっても重篤化しないのでそこまで気を付けなくて良いという意味合いになります。

 

歯科治療における感染性心内膜炎予防の考え方

欧米のガイドラインでは、歯磨きなどの日常行為で菌血症が発症していること、歯科治療後の感染性心内膜炎の発症率はきわめて低いこと、抗菌薬により副作用や耐性菌が生じる可能性があることなどから歯科治療前の予防的抗菌薬投与には消極的であるとのことです。

日本ではこのような海外でのガイドラインも踏まえ検討した結果、感染性心内膜炎高度リスク患者に対する予防的抗菌薬投与を推奨することとしているようです。予防の具体的な対応としては、歯科治療前にアモキシシリン2 g の術前1 時間以内の経口単回投与となっています。

 

歯科治療の内容による侵襲性の違い

小児領域において予防策を必要とする歯科処置は基本的には成人における歯科処置と同様になります。

一般的に,菌血症を起こす歯科処置として抜歯がもっとも一般的ですが、歯根の吸収を伴っている乳歯の抜歯は永久歯の抜歯ほどの侵襲性はなく、乳歯の脱落時に出血を伴うことがあるが通常は菌血症が考慮されることはないと言われています。

小児領域における出血を伴う口腔外科手術や歯石除去などは菌血症を誘発する処置であると考えられますが、歯肉への局所麻酔や出血を伴わない充填

(詰める),修復(被せる)処置、デンタルエックス線撮影、矯正治療は菌血症を伴う処置としては考えなくて良いとガイドラインには記載されています。

 

矯正治療による感染性心内膜炎リスク

先述したように、矯正治療は菌血症を伴う処置としては考えなくて良いとガイドラインには記載されています。

ここでいう矯正治療は終わらくワイヤー矯正を指していると思われます。

ワイヤー矯正は基本的には歯茎に触ることもないですし、出血を伴うこともありません。

そのため低リスクの歯科処置であるという判断は問題ないかと思います。

拡大装置の中に、マクナマラタイプと呼ばれる拡大装置があります。

その装置は歯茎と歯を覆うようにして拡大していくため、装置を外すと歯肉の炎症がかなり強く、処置中の出血も多くなります。

このような矯正治療をワイヤー矯正と同列に低リスクの矯正治療と判断はできないと思います。

 

ガイドラインには矯正治療毎による感染性心内膜炎リスクについて記載されているものはないため、各歯科医師の判断にはなってしまいます。

当院では通常のワイヤー矯正や、インビザラインのようなマウスピース矯正はガイドライン通り低リスクと判断しています。

スペース不足が顕著なお子様の場合、歯牙の先天性欠損があったり、むし歯で乳歯の状態が悪い場合はマクナマラタイプの拡大装置を使用することがありますが、絶対にこの装置でないとできないことはかなり少ないため、感染性心内膜炎のリスクがある心疾患患者に対しては、このような装置は使用しないようにしています。

インビザラインファーストは以前のブログにも記載しましたが、治療期間の問題やコストの問題、治療パフォーマンスの問題から当院では積極的には取り入れておりませんが、感染性心内膜炎のリスクが高い場合などは使用することもあります。

インビザラインやワイヤー矯正の低リスクの矯正治療、マクナマラタイプの拡大装置などの高リスクの矯正治療以外の矯正器具を、当院では中リスクと判断しています。

中リスクの矯正治療に関しては、患者様に説明の上、感染性心内膜炎予防のガイドライン通り処置の1時間前にアモキシシリン2 g 服用してきてもらい対応しております。

歯科のみではもちろん判断できないため、かかりつけの担当ドクターへ問い合わせた上で処置に当たります。

中リスクの矯正治療の場合、着脱のタイミングや型取りのタイミングでが歯茎の内部を触ることがあり、出血を伴う可能性があります。

ですので、矯正治療中毎回アモキシシリンを服用して来院する必要はありませんのでご安心ください。

 

 

お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。

茨木・高槻の矯正歯科専門医院

みやの矯正・小児歯科クリニック

大阪府茨木市別院町4-15 別院町・掛谷第6ビル

 

Junichi Miyano

みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木)

院長宮野 純一

Junichi Miyano

2006.3
大阪星光学院高等学校卒業
2012.3
大阪大学歯学部卒業
2020.8
みやの矯正・小児歯科クリニック開院

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