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ヘッドギアと矯正用アンカースクリュー

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ヘッドギアと矯正用アンカースクリュー

ヘッドギアと矯正用アンカースクリュー

こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。

2021年11月5日に横浜で開催された日本矯正歯科学会にて、昨年日本矯正歯科学会の英文雑誌(OrthodonticWaves)に掲載された論文が本年度の論文賞に選ばれ、表彰されました。

論文は、混合歯列期(小児期)における、ヘッドギアという矯正装置に関する内容です。

研修医時代から研究の構想、資料採取、計測、統計処理、分析、修正を繰り返し、約9年と年月はかかりましたが、多くの先生方の協力もありこのような形で表彰を受けることができ非常にうれしく思います。

インプラントアンカー全盛の時代ですが、常にヘッドギア治療と向き合い続けてきた経験からも、決して古びた治療方法ではなく今なお他の装置には変えがたい良い側面もあると実感しています。

今回は論文の内容とは少し異なりますが、ヘッドギア治療と矯正用インプラントアンカー(歯科矯正用アンカースクリュー)についてのお話をさせていただきます。

 

歯を抜いて矯正治療を行う場合

引っ張り合ってスペースを閉じる場合、前歯は奥へと移動し、奥歯は前へと移動します。

抜歯を行い矯正治療を行う場合、必ずどの程度前歯を後ろに、奥歯を前に動かすのかを治療計画を立てる時点で計算しています。

最小の固定の場合は、奥歯が抜歯スペースの半分以上前にきており、前歯が奥へ移動する量は少なくなります。こういった治療計画の場合、一般的には治療の難易度は低いことが多いです。

一方で、最大の固定の場合は、奥歯が抜歯スペースの1/4程度しか前方に移動しておらず、残りの3/4のスペースが前歯が後方へ移動しています。こういった治療計画の場合、一般的には治療の難易度が高いことが多く、後述するヘッドギアやアンカースクリューの使用が重要となってきます。

少し専門的な話になりますが、

臼歯(奥歯)の前方への移動が抜歯スペースの1/2以上許容される場合を最小の固定

臼歯(奥歯)の前方への移動が抜歯スペースの1/4~1/2許容される場合を中等度の固定

臼歯(奥歯)の前方への移動が抜歯スペースの1/4以下しか許容されない場合を最大の固定と言い、矯正の先生たちの会話を聞くとこのような言葉を使用していることもあるかもしれません。

それぞれミニマムアンカレッジ、モデレートアンカレッジ、マキシマムアンカレッジとも呼びます。

 

ヘッドギアの目的

抜歯してできたスペースを可能な限り前歯をひっこめる(後ろへ移動させる)ことで使いたいという場合、ヘッドギア(頭にかぶる装置)を使用し、先述した最大の固定と呼ばれる状態で治療計画を立てます。

ヘッドギアは奥歯の代わりに後頭部を支えにするため、前歯を後ろに移動させることに対する反作用が起こらず、より理想的な動きを可能にします。ヘッドギアはきちんと使用すると弊害もなく簡便で、費用もかからずとても良い装置なのですが、患者さん自身で最低でも10時間以上装着しなければ効果が出づらいため、患者さんの協力が得られない場合歯が動かないというデメリットがあります。

 

矯正用アンカースクリューの目的

歯科矯正用アンカースクリューを使用すると、患者さんにご自身で装置を装着してもらう必要はなくなります。矯正用アンカースクリューは、チタン製の小さなネジのような器具で、骨の中に打ち込んで使用します。矯正用アンカースクリューが骨にしっかりと埋まっているため、アンカースクリューと歯を引っ張り合うと、骨に埋まっているアンカースクリューは動かず、歯のみを動かすことが可能です。

それにより、奥歯を前に動かさないように固定したり、反対に奥歯を前に動かしたい場合など、より治療計画通りに治療をすすめていくことが容易となりました。

 

歯の動かし方の比較

治療計画にて、ヘッドギアもアンカースクリューも使用しない場合、下のイラストのように、抜歯したスペースに対し、前後の歯(前歯と奥歯)が両方とも動きスペースを閉じるようになります。

一方で出っ歯さんの程度が強い場合など前歯をできるだけ後方へ動かしたい場合は、必ずヘッドギアかアンカースクリューが必要となります。しっかりとヘッドギアを使用したりアンカースクリューを使用することで、抜歯した赤線と青線の間の隙間をすべて前歯を後方へ動かし、前歯と緑線の隙間分、前歯がひっこんだことになります。

つまり出っ歯さんの程度が強い方で、ヘッドギアも使えない、手術も嫌でアンカースクリューも使いたくないという場合は、本来は真ん中のイラストのようにできるだけ前歯を後方へ引きたいけど、妥協的に下のイラストのような動き方を治療計画とするということになります。

元々出っ歯さんの程度がそこまで強くない方に関しては、真ん中のイラストのように前歯を後方へ引きすぎることが望ましくない方は、戦略的に下のイラストのような動かし方を治療計画とします。

抜歯したスペースをどのように閉じるかをしっかりと考えて、ヘッドギアやアンカースクリューなどの提案がある場合もあれば、わざと使用しないこともあるわけです。

 

矯正用アンカースクリューとはどんなもの?

歯科矯正用アンカースクリューはチタン製です。チタンは生体適合性に優れた金属で、骨折の接合や人工関節などにも用いられ、金属アレルギーの心配もほとんどない安全な素材です。サイズは植立する部位によっても異なりますが、直径約1.5mm,長さ約6mm程度のとても小さなサイズです。

専用の埋入器具を使用し、トルク(力のかけ具合)をコントロールしながら埋入を行います。
骨には痛覚がないため、基本的には痛みはありません。最初に歯茎はチクっと痛みを感じるため、その負担をなくすために局所麻酔を使用します。歯茎の表面だけに効けば良いので、麻酔の量自体もかなり少量です。痛みはなく外科的な侵襲は大きくありませんが、歯茎からネジのヘッド(頭の部分)が出てくるので多少の違和感は出てきます。

矯正用アンカースクリューは一定の割合で脱落すると報告されています。これは一般的なインプラントとは異なり、矯正が終わった際に撤去することが前提であるため、取り外しが可能なように埋入を行うためです。

何もしていなくても約1割ほどが脱落してしまうと報告もありますが、お口の中が不潔な状態でスクリュー周囲の歯茎が感染を起こしたり、手や舌で触っていると機械的なゆさぶりの力もあり、脱落リスクが高くなると言われています。

 

 

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