茨木市の歯医者(歯科医院)「みやの矯正・小児歯科クリニック」の乳歯列期の矯正治療について。

茨木市駅より徒歩2分 連携駐車場あり

ご予約・問い合わせ072-625-8898

診療時間
9:00-12:30/14:00-18:00休診日 木曜・祝日

乳歯列期の矯正治療

Deciduous dentition乳歯列期の矯正治療

乳歯でも矯正をするの?
ご不安な点はご相談下さい

乳歯列での矯正治療について

①治療はいつ開始するの?

治療開始時期は、早くても本人の協力性が得られる3歳~3 歳半ぐらいに開始となります。乳歯だから永久歯に生え変わったら治るんじゃ・・・もちろんそういった場合もあるかと思います。希望的・楽観的観測で経過観察とするべきではなく、検査・診断を行い、治療介入が必要であるかどうか、もしくは戦略的に医学的に経過観察すべきであることの根拠が大切です。

②装置はどのようなものを使用するの?

歯並びに問題がある場合、必ず原因があります。習癖の問題であれば習癖の改善を、骨格的な問題であれば骨格的な改善が必要となり、それぞれ装置も異なります。つまり、「受け口の改善には必ずムーシールドやパナシールドを使用する」といったことはありません。検査・診断を行い、将来的な展望や装置の選択も含め治療計画を立てていく必要があります。
もちろん、ムーシールドやパナシールドといった装置が悪いわけではなく、お口の中の状態によってはそういった装置を使用することも選択肢となります。

③治療を行っても後戻りするの?

受け口(反対咬合)や交叉咬合は治療を行っても再発する可能性があります。特に骨格的な要因で受け口や交叉咬合になっている場合は、成長に伴い再発する傾向が強くなります。ですので、治療を行い改善しても成長が止まるまで経過観察することも多く、乳歯列から治療を開始した場合、長期管理が必要となります。

④受け口以外の歯並びの治療は乳歯の時は治療しないの?

受け口(反対咬合)と交叉咬合(顎をずらして噛む)以外の矯正治療は乳歯列では基本的には行いません。
出っ歯(上顎前突)や歯のガタガタ(スペース不足・叢生)などの治療は、6歳臼歯と前歯の永久歯が萌出したタイミングで治療を開始することが一般的です。

検査の重要性

①矯正前の検査とは

①矯正前の検査とは

矯正治療を検討していくにあたり、「パノラマX線検査」「側貌頭部X線検査」「口腔内・顔面写真撮影」「歯列模型」の基本検査(税込13,200円)を行います。
「パノラマX線検査」は通常どの歯科医院にもありますが、 「側貌頭部X線検査」は側方頭部X線規格写真やセファログラムともよばれ、矯正歯科用の特別なレントゲンです。顔の骨格や前歯の角度など調べるために撮影します。矯正治療を始める際に必須となる検査です。成長期の患者さんでは、治療前後もしくは時期の異なる2枚の写真を比較することで、治療の成果だけでなく成長の方向と量を知ることができ、治療計画や将来的な展望を把握するの非常に重要な検査となります。

②小さなお子様で検査が難しい場合

②小さなお子様で検査が難しい場合

小さなお子様にとって一つのハードルとなってしまう検査が、レントゲン検査と型取りの検査です。
パノラマX線検査と側貌頭部X線検査の際、レントゲン室に一人で入室すること、一定時間じっと動かないでいることができないといけません。怖がってしまったり、撮影中に静止することが難しい場合も実際にはありますが、この検査なくして矯正治療を行うことはありえません。
次にハードルとなるのが、粘土でのお口全体の型取りの検査です。特に受け口の方は嘔吐反射(おえっとなること)が強いことも多く、型取りの際にえづいてしまったり、場合によってはもどしてしまうこともありますが、この検査もセファロと同様に矯正治療前には必ず行います。年齢的には治療適応であってもこれらの検査ができない場合は、年齢が上がり協力性が得られるまで様子を見ることとなります。

③「他院で経過観察と言われた。」「他院でマウスピースで治すと言われた。」

検査を行い、矯正治療を専門とする先生が今は治療が必要がないもしくはマウスピースで治療が可能と判断されているようであれば問題ないと思います。
一方で、検査もなく楽観的希望的観測で経過観察と言われているケースや、受け口=プレオルソやムーシールドのような既製品のマウスピース矯正治療といった一辺倒な治療を勧められている場合には、当院では検査を行うことを推奨しています。

乳歯列で改善すべき5症例

症例1:歯性反対咬合(受け口)の改善

症例1:歯性反対咬合(受け口)の改善

資料取り後の検査・診断の結果、歯性反対咬合を認めたため、下記治療を行っています。受け口の方は成長によって再度受け口となることも多いため、経過観察を行っていきます。

初診時 3歳9か月女性
主訴 受け口(反対咬合)が気になる
期間 約3か月
矯正 床装置・筋機能訓練装置
費用 基本検査13,200・装置料110,000・調整料3,300/月(税込)
治療上のリスク 歯磨き不良の場合はむし歯になる可能性。
習癖や成長に伴う後戻りの可能性。
①歯性反対咬合とは

一般的には受け口とよばれる状態ですが、受け口の原因が歯にあるタイプです。
骨格的な問題ではなく歯の角度によって受け口となっているため、比較的治療が容易です。機能性の反対咬合とよばれる状態のこともあります。
しかし、歯の角度が悪くなったことにも原因があるため、それに応じた治療が必要となります。また後述する骨格的な反対咬合との違いが非常に大切であるため、検査・診断は非常に大切となります。

②歯性反対咬合の治療方法

②歯性反対咬合の治療方法

治療方法として一般歯科でもよく使用されている、ムーシールド・パナシールド・プレオルソ・T4Kトレーナーに代表されるようなマウスピースタイプの口腔筋機能訓練装置を使用することもあります。
しかしこういった装置だけだと期間がかかること、本人の協力性(気持ち悪くて使用できないことなど)の問題でうまく治らないことが一定数起こります。当院では床装置を主に使用して改善し、治療後の安定を図る意味合いで上記のマウスピースの装置を使用することがあります。

③床装置のメリットとデメリット

③床装置のメリットとデメリット

型取りをしてその子の口にぴったりの専用の装置を作製するため、違和感も少なく基本的には使用できないということはほとんどありません。ただし型取りを行わないといけないため、その時はご本人様に頑張っていただく必要があります。治療の結果を予測しやすいことも既製品のマウスピース装置にはない大きなメリットです。

症例2:骨格性反対咬合(受け口)の改善

症例2:骨格性反対咬合(受け口)の改善

資料取り後の検査・診断の結果、骨格性反対咬合を認めたため、下記治療を行っています。受け口の方は成長によって再度受け口となることも多いため、経過観察を行っていきます。

初診時 5歳7か月女性
主訴 受け口(反対咬合)が気になる
期間 約7か月
矯正 拡大床装置・上顎前方牽引装置・筋機能訓練装置
費用 基本検査13,200・装置料143,000・調整料3,300/月(税込)
治療上のリスク 歯磨き不良の場合はむし歯になる可能性。
習癖や成長に伴う後戻りの可能性。
①骨格性反対咬合とは

先ほどの歯性反対咬合と同様に一般的には受け口とよばれる状態ですが、受け口の原因が骨にあるタイプです。
骨格的な問題となるので、治療が難しく長期に渡る傾向があります。また遺伝的な影響を受けやすく、ご両親や祖父母などの近親者に受け口の方がいらっしゃる場合には、この骨格性反対咬合であることが多いです。
見た目は歯性の反対咬合と見分けがつかないことが多く、また骨格的な問題といっても上顎骨が小さいのか、上顎骨の位置が後方にあるのか、下顎骨が大きいのか、下顎の位置が前方に位置しているのか、下顎の成長に対する後方の余地が少ないのか、など状況によって治療方法や治療後の成長予測も大きく変わってきます。ですので検査・診断が非常に大切であり、検査もなく受け口=マウスピースのような治療を行うことはありません。

②治療が難しい骨格性反対咬合

歯性の反対咬合であればマウスピース矯正でうまくいくことも多いのですが、骨格性反対咬合ではマウスピース矯正がうまくいかないこともあります。たとえ患者様がきちんとマウスピースの装置を使用できていたとしても効果が得られません。それはマウスピースでは骨格性反対咬合の原因を解決できる状態にないことがあるからです。また乳歯が交換して新しい永久歯が生えても自然に改善しないことが多いのが骨格性反対咬合です。
骨格性反対咬合の治療は矯正治療の中でも最も難しい治療のひとつです。それゆえきちんと検査をしていないと、最初は骨格性と判断していなかったが、治療途中や経過観察している途中で実は骨格性反対咬合であったことが発覚することがあります。

③骨格性反対咬合の治療方法(上顎骨の前方牽引装置)

若ければ若いほど効果がでやすいため、早ければ3歳で骨格性反対咬合の治療を行うことがあります。日本人の多くの骨格性反対咬合の原因が上顎骨の劣成長(上顎が小さい)であるため、上顎骨の前方牽引処置となることが多いです。
下顎の骨が成長しすぎて前に出ている場合は、「チンキャップ」と呼ばれる顎の矯正器具が以前は主に使用されていました。下顎の成長を抑制し、下顎が後ろに下がるようにする装置です。しかしこの装置は思ったような良い結果が出ないことも長年の研究からもわかってきています。ですので下顎が大きい場合の骨格性反対咬合の場合は、非常に治療が難しく将来的に外科矯正治療が必要となる可能性が高いことも、乳歯列の時点でお伝えしないといけないこともあります。

  • ③骨格性反対咬合の治療方法(上顎骨の前方牽引装置)
  • ③骨格性反対咬合の治療方法(上顎骨の前方牽引装置)
症例3:臼歯部交叉咬合(顎をずらして噛む)の改善

症例3:臼歯部交叉咬合(顎をずらして噛む)の改善

資料取り後の検査・診断の結果、上顎歯列の狭窄に伴う交叉咬合を認めたため、下記治療を行っています。交叉咬合の方は成長によって再度交叉咬合となることも多いため、経過観察を行っていきます。

初診時 5歳3か月女性
主訴 受け口(反対咬合)が気になる
期間 約3か月
矯正 上顎歯列拡大プレート・筋機能訓練装置
費用 基本検査13,200・装置料110,000・調整料3,300/月(税込)
治療上のリスク 歯磨き不良の場合はむし歯になる可能性。
習癖や成長に伴う後戻りの可能性。
①臼歯部交叉咬合とは

顎をずらして噛む状態は、一般的には交叉咬合と呼ばれます。奥歯(臼歯部)の交叉咬合はそのまま放置していても歯の生え変わりが起こっても自然には改善しないことがほとんどです。放置することにより、最初は歯だけがずれていたものが骨格のずれを引き起こし、成長とともに顔の左右非対称が顕著となってしまうことがあります。骨格的なずれになってしまう前にできるだけ低年齢での改善が望ましいです。

②臼歯部交叉咬合の治療方法

交叉咬合だけの場合と、受け口の問題が併発しているケース(次に記載している前臼歯部交叉咬合)によって大きく治療方法が異なります。 また交叉咬合の原因によっても治療方法が異なってくるため、検査・診断が非常に大切となります。
上顎歯列が下顎歯列に対し狭いことが原因で交叉咬合となっている場合が多く、その際は上顎に歯列拡大プレートと呼ばれる床装置を入れることが多いです。
今現時点の問題点だけでなく、永久歯への交換後の問題点も把握しながら治療計画を立てることが大切です。

症例4:前臼歯部交叉咬合(受け口・顎をずらして噛む)の改善

症例4:前臼歯部交叉咬合(受け口・顎をずらして噛む)の改善

資料取り後の検査・診断の結果、前歯部の反対咬合と上顎歯列の狭窄に伴う交叉咬合を認めたため、下記治療を行っています。反対咬合・交叉咬合の方は成長によって再度同じような噛み合わせになることも多いため、経過観察を行っていきます。

初診時 4歳2か月女性
主訴 受け口が気になる
期間 約4か月
矯正 上顎骨前方牽引装置・上顎歯列拡大プレート・筋機能訓練装置
費用 基本検査13,200・装置料143,000・調整料3,300/月(税込)
治療上のリスク 歯磨き不良の場合はむし歯になる可能性。
習癖や成長に伴う後戻りの可能性。
①前臼歯部交叉咬合とは

前述した臼歯部交叉咬合に加え、前歯部の反対咬合も認める噛み合わせです。
症例3の臼歯部交叉咬合の診断と、症例1・2の反対咬合を合わせたような状態で、非常に治療の難易度が高い症例です。すでに骨格的な問題となっている場合もありますが、さらに骨格的なずれが大きくなってしまう前にできるだけ低年齢での改善が望ましいです。

②前臼歯部交叉咬合の治療方法

症例3の臼歯部交叉咬合の治療と、症例1・2の反対咬合の治療を合わせて考えます。長期的な視点から今改善すべき問題点、改善後も経過観察し成長とともに顕在化してくる可能性の高い問題点を整理し、治療方法を検討する必要があります。治療方法は上記症例の治療方法を組み合わせていくことが多いです。ほかの症例に比べると治療期間が長くなってしまいます。

症例5:片側性反対咬合(受け口・顎をずらして噛む)の改善

症例5:片側性反対咬合(受け口・顎をずらして噛む)の改善

資料取り後の検査・診断の結果、片側性の前歯部の反対咬合を認めたため、下記治療を行っています。反対咬合は成長によって再度反対咬合になることも多いため、経過観察を行っていきます。

初診時 5歳0か月男性
主訴 顎をずらして噛むのが気になる
期間 約4か月
矯正 上顎骨前方牽引装置・上顎床装置・筋機能訓練装置
費用 基本検査13,200・装置料143,000・調整料3,300/月(税込)
治療上のリスク 歯磨き不良の場合はむし歯になる可能性。
習癖や成長に伴う後戻りの可能性。
①片側性反対咬合とは

前歯部の反対咬合が左右どちらかにのみ認める噛み合わせです。
ずれた状態で噛み癖となってしまっていることも多く、生え変わりとともに自然に改善する可能性は低いです。
左右の非対称が骨格的なずれとなってしまう前にできるだけ低年齢での改善が望ましいです。

②片側性反対咬合の治療方法

片側性反対咬合の場合は、片側に力をかけなければいけないところ、全体に力をかけて動かしていくことなど状況によって様々です。既製品のマウスピースでは力をコントロールすることはできないため、歯並びに応じて装置を工夫し作製する必要があります。ずれた歯並びの状態での噛み癖が必ず存在するため、噛み合わせの改善後に安定させるためにマウスピースの装置を使用することがあります。反対咬合の原因が骨格的な問題がある場合は、上顎骨の前方牽引装置を使用することあります。

to top