癒合歯と矯正治療

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癒合歯と矯正治療

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癒合歯と矯正治療

癒合歯と矯正治療

こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。

今回は癒合歯についてのお話です。乳歯の癒合歯は生え変わるので特に大きな問題とはなりませんが、うまく生え変わらない場合は抜歯が必要となることがあります。一方で永久歯に癒合歯がある場合は、歯並びに影響を与え、また矯正治療を非常に難しくする要因となります。

 

癒合歯とは?

2本の歯がくっついて生えてくる形態異常です。歯の中の神経も一つにつながっている場合と、神経は別々の場合があります。癒合の仕方により癒着歯(ゆちゃくし・concrescent teeth) ・癒合歯(ゆごうし・fused teeth)・双生歯(そうせいし・twin teeth) ・巨大歯(きょだいし・ macrodens ・giant teeth)などと呼ばれたりもします。

歯のセメント質や象牙質、神経のどこで結合しているかがポイントとなります。基本的には歯と歯が結合して一つの歯になっているものを総称して癒合歯と呼ぶことが多いです。

癒合歯は乳歯に認められる傾向があり、欧米では 0.5~2.5%であるのに対し、日本では 1~3% と多いのですが、永久歯の癒合歯は 0.2~0.3%と少なくなっているとの報告があります。

 

癒着歯(ゆちゃくし)

癒合の場所が表層のセメント質レベルでくっついたものを癒着歯といいます。

後述する癒合歯や双生歯と比べると結合の程度が弱いため、生え代わりの際に癒合していた片側だけ抜けてしまい、癒着が外れることもごく稀にあります。

歯髄と呼ばれる神経や象牙質の露出はないため、冷たいものが染みるなどの痛みは起こりにくいです。

 

癒合歯(ゆごうし)

癒合の場所が表層の象牙質レベルでくっついたものを癒合歯(ゆごうし)といいます。

歯の2層目の象牙質が癒合しているため、エナメル質もしくはセメント質も結合しています。

歯髄と呼ばれる神経まで癒合したものと、象牙質のみで結合し、歯髄は分離しているものがあります。

 

双生歯(そうせいし)

歯ができ始めの卵の状態を歯胚と呼びます。一つの歯胚が二つに分離して成長発育したものを双生歯と呼びます。

癒合歯とは発生過程は異なりますが、臨床所見としては似たようなものが多く、鑑別が困難な場合もあります。

歯髄と呼ばれる神経は、神経を共有するタイプ、神経が個別であるタイプのほかに、イラストのように神経の一部は分離しているが大部分は共有している中間タイプがあり、その割合が最も高いと言われています。

 

巨大歯(きょだいし)

巨大歯は、形態的な正常値の変異幅を越えて著 しく大きいものと定義されます。

幅の大きな歯には、正常歯と正常歯との癒合や、正常歯と過剰歯との癒合により歯冠幅が大きい癒合歯もあり、純粋な巨大歯との鑑別が必要となりますが、臨床的にはその鑑別はそれほど重大な問題とはなりません。

 

癒合歯はいつ癒合するの?

上下の前歯に癒合歯を認めることが多いため上下の永久歯の前歯で考えてみたいと思います。

実は上下の永久歯の前歯は、6歳から8歳ころに生えてくるのですが、歯の形成は胎生5か月頃から始まると言われています。

歯の形成が始まりだすと、①発生・増殖期→②組織分化期→③形態分化期→④基質形成期→⑤石灰化期→⑥萌出期というような流れで、約8年かけて生えてきます。

③の形態分化期の中で発育異常が起こると巨大歯や双生歯、癒合歯となります。

④の基質形成期の中で発育異常が起こると癒着歯となります。

今回話はしないですが、⑤の石灰化期に発育異常が起こると石灰化不全を起こし、エナメル質形成不全や斑状歯(歯のフッ素症)となります。

この⑤の石灰化期の開始は生後半年以内と言われていますので、実は③の形態分化期や④の基質形成期はそれまでに起こっているため、上下の前歯の永久歯は生後半年の時点ではすでに癒合歯や癒着歯などといったことは決まってしまっているということになります。

 

癒合歯の問題

①むし歯リスクが高い

癒合歯の場合、形がいびつであるため、隙間に汚れが残りやすくなります。癒合している部分の象牙質が低石灰がしているとの報告もあり、歯の質の問題からもむし歯リスクが高いと言われています。

しっかりフロスを通していれば問題ないことも多いですが、物理的に掃除が困難な場合もあります。

その場合は癒合部分をしっかりときれいにし、シーラントやレジン充填を行い穴を埋めてしまうこともあります。

 

②歯並びが悪くなる・矯正治療が難しくなる

癒合歯は2つの歯がくっつていますが、大きさは2本分ではなく、約1.5本分の歯のサイズになることが多いです。矯正治療では、顎のずれや左右差がない場合は、基本的には歯の本数を上下左右対称にする事で真ん中をあわせたり、きれいな噛み合わせにもっていきます。しかし癒合歯がある場合は通常2本分の歯の大きさの所が1.5本と中途半端になってしまい、通常片側にしかおこらないため、左右対称の噛み合わせを得ることはできなくなります。癒合歯は表面でのみくっついてるわけではないので、分割して独立した歯にすることもできず、歯を2本分抜くことになってしまうため、抜歯をして調整することも困難となります。

歯の表面の形もいびつであることあり、その場合は矯正器具を適切な位置につけることも困難となるのも問題点の一つです。

その場合は付けることができる位置に器具を装着し、複雑なワイヤーの調整などが必要となり矯正治療の難易度も上がります。

きれいに横並びで癒合することもありますが、歯の位置がずれた状態で2つの歯が癒合することもあります。この場合は、きれいに並べる事は不可能になり、どちらかの歯はきれいにならんでいない状態で矯正治療が終了する事になります。

 

癒合歯のある場合の矯正治療

人により癒合歯の状態や、骨格、歯並びも大きく異なるため、癒合歯がある場合はこのように治療を行うという決まりはありません。

問題となるのは、大きさの問題が一番です。

左右の大きさ、上下のバランスを調整するために、歯の大きさを削って小さくするIPRという方法(詳しくは以前のブログを参照) や、形態修正という方法(詳しくは以前のブログを参照)も検討しながら、試行錯誤が必要となります。

それでも左右の歯のサイズを完全に一致させることは事は困難であるため、癒合歯の矯正治療は難しく、多少妥協したかみ合わせになってしまうことをご理解いただいた上で、最善の方法を模索していくようになります。

 

お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。

茨木だけでなく、吹田や箕面、高槻からもご来院いただいております。

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