2026.01.23
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こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。
矯正治療は戦略的にタイミングを図ることが大切です。特に前歯のガタガタは小学生で改善しない方が良いこともあります。
今回は下顎前歯のガタガタを小学生で治してはいけない理由についてお話したいと思います。
基本的には下顎の大きさや奥行きは矯正装置の使用によって大きく変化することはありません。
「顎を拡大しましょう」という言葉は上顎に使用すると適切なのですが、下顎に使用すると厳密には正しくないのです。
8歳から12歳の時点でガタガタの前歯を並べてしまうことで
「歯が前に出てしまう」
「奥のスペースがなくなり12歳臼歯が生えなくなる」
といったトラブルを惹起してしまうことがあります。
8歳の時点でスペース不足の量が多く前歯が外側に傾斜している症例では抜歯矯正を念頭に置く必要があり、小学生で前歯を並べない方が賢明です。
下顎前歯のガタガタは保護者の目に留まりやすく、そのガタガタを治してほしいと来院される方も多いです。
場合によっては保護者の希望通りに早期に下顎の前歯のガタガタを改善することが、良いことだと思っていたらやってはいけない可能性もあるのです。

・前歯のガタガタ
・5番目の歯が出てこれない
これらはスペース不足が原因です。
この症例ではスペース不足の程度が強くなかったため奥歯を奥へ動かし排列しました。そのせいで奥歯が生えにくくなり歯茎がかぶったままになってしまっています。
歯茎がかぶっているだけであれば最終的に歯茎を切除するだけで対応できますが、スペース不足の程度が強い症例で前歯や5番目の歯がスペースを使ってしまうと12歳臼歯が埋伏するトラブルを引き起こすこともあります。
もちろんスペース不足が軽度の場合や、結果的に下顎の自然成長を認めスペース不足が解消された場合には上記のようなトラブルが起こることはありません。一方で、小学生で下顎前歯のガタガタを治すことは、目先の問題を解決したように見せたトラブルの繰り延べの可能性があり、余計に大きなトラブルの引き金になることもあります。

保護者の方の中には親知らずが埋まってしまい抜歯をされた経験をお持ちの方も多いと思います。
それは現代人の顎は小さく、下顎の奥行きが少なく親知らずが入るスペースがなく埋まってしまうためにトラブルとなり抜歯が必要となります。
もし矯正治療にて下顎が大きくなるのであれば、下顎を成長させ親知らずも入るスペースを作ることができ、親知らずを抜く人はいなくなる理屈になりませんか?
先述したように、矯正治療をしたおかげでスペースの総量は劇的に大きく変わりません。手前の12歳臼歯までもが埋伏するトラブルが非常に多いです。
矯正治療をしていないお子様で、小学生の間は歯並びがよかったのに12歳臼歯が生えてきてはじめてトラブルがおこってしまうこともあります。
ただでさえ多い12歳臼歯のトラブルを、小学生の間に前歯や5番目の歯を排列してしまいスペースを奪うことで人為的に惹起する可能性もあります。

一つ目の大きなポイントしてあげられるのが左右差です。
反対側が生えてきているのにもう反対側が深い位置に埋まっている場合は、要注意です。

個人差があるとはいえ、12歳臼歯が14.15歳になっても生えてきていないと、単純に生え変わりが遅いだけではなく、何か問題が起きていないのかきちんと専門医にみてもらうことをお勧めします。
歯の形成は、歯の頭が先に作られ、その後歯の根っこが順番にできていきます。その根っこができる過程で歯の萌出力(歯がはえる力)が生じるので、歯の根っこがほぼ完成しているのに埋まっている歯は自然と生えてこれないことが多く、牽引処置が必要です。
歯の根っこがまだできていない場合は、生え変わりがゆっくりであると判断できることが多いですが、右の写真ように、歯の根っこの形成が起こっているのに埋まっている場合は、牽引処置が必要となることが多いです。

上記①から③の診断のポイントは非常に大切ですが、CTを撮影したとしても埋伏と確定診断することが難しいことがあります。その場合は自然萌出の可能性もあるため、経過観察することが多いです。半年や1年など経過観察後に再度レントゲン撮影を行い、明らかな位置変化があれば萌出傾向があるとしてそのまま経過観察を続けることもありますが、変化を認めない場合は埋伏と診断し、牽引処置や場合によっては抜歯処置を行う可能性が高くなります。

特に上顎の奥歯はレントゲンでは構造物が重なり、不鮮明になってしまいわかりにくいことがあります。12歳臼歯が生えてくるのが遅い場合に、こちらの写真のように過剰歯などの異物が埋まっている可能性もあるため、注意が必要です。

歯の根っこの形態異常があり、湾曲が強いと自然に萌出が難しい場合があります。

場合によっては12歳臼歯の抜歯が必要になります。
他の歯が代わりに使用できる場合や、どうやっても使用が難しい位置関係の場合に抜歯になってしまうことが多いです。

後方の余地が少なく埋伏している場合は、後方のゆとりをつくるために親知らずの抜歯が必要なことがあります。

深く埋まっている歯に器具を付けないといけないため、外科処置になります。
親知らずが邪魔をしていない場合や、後方のゆとりに問題がない場合は親知らずの抜歯の必要はありません。

8歳の時点で一見するときれいな歯並びにみえますが、緑矢印の箇所には永久歯が3本入る予定なので全然スペースが足りない状態です。
すべて永久歯に生え変わり12歳臼歯の状態も確認した上で治療方針を決定します。
この症例のように左右で抜歯、非抜歯を分けることもあります。
抜歯を行った方が奥歯はきれいにはえているのに対し、歯を抜かなかった方は奥歯が入りきっていないことからも奥行きの見極めが大切であることがわかります。
抜歯か非抜歯を選択し、この症例のように左右で違う方法を取ることもあります。

すべての症例が前歯を並べてはいけないわけではありません。
基本的にはインビザラインファーストは小学生の段階で前歯も並べる装置です。
12歳臼歯のトラブルや成長による変化を踏まえた上で治療計画を立て、前歯を並べる分には問題ないかと思います。
一方で、目先の問題を解決し本質的な問題を先送りしたことによる、インビザラインのトラブルも非常に多くなっています。
当院ではインビザラインファーストは基本的にはお勧めしていません。
その理由はこちらのブログも参照してください。
歯並びが元々そこまで悪くないようなお子さんであれば、従来のような装置でも、インビザラインファーストでもほぼ確実に治ります。
インビザラインファーストを希望される場合は、きちんとお話を聞き納得したうえで治療を受けていただけたらと思います。
お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。
みやの矯正・小児歯科クリニック
大阪府茨木市別院町4-15 別院町・掛谷第6ビル
記事の監修者情報| 院長 宮野 純一
(みやの矯正・小児歯科クリニック)
矯正治療はもちろん、子供の成長発育や小児歯科治療に関しても専門医から直接指導を受け自己研鑽してきました。 子供矯正のスペシャリストとして保護者が安心して任せられる矯正治療をご提供しています。
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