2025.06.15
こんにちは、大阪の阪急茨木市駅前のみやの矯正・小児歯科クリニックです。
上の前歯(真ん中)の間に隙間があいているいわゆるすきっぱのことを「正中離開」とよびます。
今回は「すきっぱ(正中離開)の原因は受け口だから?」というテーマでお話したいと思います。
以前のブログにも記載していますが、大まかに6つのすきっぱの原因を記載していました。
今回は7つ目として「すきっぱの原因は受け口」ということについて詳しく解説していきます。
以前のブログはこちらです。
上唇小帯とは、上唇と歯ぐきをつないでいる「すじ」のことです。
乳児期には歯の近くまで伸びていることが多い上唇小帯ですが、年齢が上がり顎が発育するとともに上唇小帯も徐々に上に上がっていきます。
ですので、基本的には永久歯が生えるまでは経過観察を行います。
乳歯のときから上唇小帯の発達が顕著な場合は、自然には解消せず永久歯の萌出とともに切除などを行うこともあります。
下の写真は上唇小帯切除術を行い、自然とすきっぱ(正中離開)が改善した例です。
通常生えてくる歯のほかに、余分な歯(過剰歯)があることがあります。
上顎の真ん中が最も多く、過剰歯の好発部位となっています。
歯と関係のない場所にある過剰歯は歯並びに影響を与えることはないですが、歯に近接した場合や、歯と歯の間にある場合は下の写真のようにすきっぱになってしまうことがあります。
過剰歯の対応については
以前のブログにも記載していますが、順正の過剰歯や逆性の過剰歯、位置関係によって対応も大きく変わってきます。
過剰歯に関しては、こちらへ
舌を前に出す癖があると、上の歯や下の歯、上下の歯の間に隙間があいてくることがあります。
このような口腔習癖が原因で正中離開以外にも、歯列が狭窄しスペース不足を引き起こすこともあるため注意が必要です。
習癖が顕著である場合は、矯正治療と並行して癖を改善するトレーニングが必要となることもあります。
習癖と歯列の関係については詳しくはこちら
かみ合わせが深いことを過蓋咬合(かがいこうごう)と呼びます。
上の前歯が下の前歯に突き上げられて、上の前歯にスペースができてくることがあります。
このような場合に、先述した習癖の一つである下唇をかむ癖が合わさると、より一層スぺースが大きくなってくることがあります。
永久歯の数がもともと足りないことを先天性欠損(せんてんせいけっそん)と呼びます。
特に上の2番目の歯は、先天性欠損することが比較的多い歯なので、歯が足りない分のスペースが余分になってしまい、すきっぱになってしまうことがよくあります。
今の医療では、足りない歯を産みだすことはできませんので、矯正治療にてスペースを閉じることが可能な場合も多いです。
スペースを閉じただけでは、3番目の犬歯が2番目にきてしまい、一般的な前歯にはみえなくなってしまいます。
その際は、「形態修正」をおこない、歯の形の修正を行います。詳しくはこちら。
乳歯の時に、歯の数がもともとなかったり、下の写真のように2番目と3番目がくっついているような癒合歯と呼ばれる歯の場合、永久歯が先天性欠損である可能性が高くなります。
上の2番目の歯は、先述したように先天性欠損の確率が高いのですが、形態異常の一つである矮小歯(わいしょうし)であることも多い歯です。
大きさが通常よりも小さい歯のことを矮小歯とよび、乳歯のサイズにもみえますが、立派な永久歯です。
矮小歯があるせいで、スペースが余ってしまい、全体的にバラつくことにより上の歯の真ん中があいてしまう正中離開となっていしまうことがあります。
その他の歯の形態異常についてはこちら
この原因はかなりイメージがしにくいため、「すきっぱが気になる」と来院してこられた患者様に「あなたは受け口だからすきっぱなんですよ」とお伝えすると、
「私って受け口なんですか?」
「ずっと出っ歯だと思っていました」
と言われることがかなり多いです。
なぜそのようなことが起こるのかというと、患者様は「上の歯の角度」を基準におそらく出っ歯と感じていらっしゃるのだと思います。
私たちはその上の歯の角度が悪くなった原因を元に「出っ歯の原因は受け口です」とお伝えしています。
下顎が前に出ていると本来であれば下の歯が上の歯よりも前に位置しているはずです。下顎が前に出ている量が比較的少ない場合上記のイラストの受け口のかみ合わせのように、上の前歯が正常咬合よりも前に傾斜し下の前歯が中に傾斜し、前歯のかみ合わせが一見すると問題ないようにみえることがあります。この状態は受け口をそう見えないように「カモフラージュ」されたかみ合わせと表現しています。
カモフラージュされているかみ合わせが上記イラストの「受け口」と記載している右側のイラストです。
イラストの上の前歯だけに着目すると、正常咬合に比べ受け口のかみ合わせのほうが上の前歯が傾斜しており出っ歯にみえませんか?
先述しているようにこのすきっぱの原因になっているのは下の顎が前に位置しており、そのせいで上の前歯があおられてしまいすきっぱとなっています。
原因を解決するという意味では、上の前歯を治すためには下の前の位置を改善する必要があります。
しかし、このようなかみ合わせが主訴で来院される方のほとんどが受け口だと思っておらず、下顎は気になっていないといわれます。
その場合に下顎も合わせて全体的に費用も100万はかかり、2年近くかかるとなると矯正治療のハードルがかなり高くなってしまいます。
そういった患者様の状況も踏まえ部分矯正で対応する場合も多いです。
ただし部分矯正の場合は、費用や期間はかなり抑えられ主訴である正中離開は改善できるものの、根本的な問題が解決していないために長期的な安定性がよくなかったり、ワイヤー固定や取り外し式の保定装置の使用が必須であったりとデメリットも理解して矯正治療を進めていく必要があります。
受け口の程度が軽度であり、すきっぱの程度が軽度の場合は、上の前歯2本だけの部分矯正で対応できることが多いです。
この方の場合上の真ん中の隙間を、2番目と1番目の歯の間に移動させて隙間を分散させています。
ど真ん中に1㎜の隙間があると審美的な問題を強く感じますが、1番目と2番目の歯の間に各0.5㎜ずつの隙間があるのですが、審美的な問題はかなり感じにくくなります。
下の歯との咬合干渉をとるために下の前歯を一部削合をしています。(咬合調整といいます)
矯正後はワイヤー固定と取り外し式のマウスピースタイプの保定装置を使用してもらっています。
この症例の方の上の前歯だけをみると、やはり前に傾斜しており出っ歯だと感じてしまうのもよくわかります。
受け口の程度が中等度であり、すきっぱの程度も中等度の場合は前歯だけの部分矯正では難しい場合が多いです。
この方の場合上の真ん中の隙間を、3番目と4番目の歯の間に移動させて隙間を分散させています。
ど真ん中に1㎜の隙間があると審美的な問題を強く感じますが、3番目と4番目の歯の間に各0.5㎜ずつの隙間があるのですが、審美的な問題はかなり感じにくくなります。新たに出来た奥歯の隙間はほっておくと閉じてしまうため、保定装置の使用も重要となります。
下の歯との咬合干渉をとるために下の前歯を一部削合をしています。(咬合調整といいます)
本来であれば下の歯を中にいれるように矯正治療が望ましい症例ですが、期間や費用なども含めて相談し今回は部分矯正で治療を行うこととなりました。
この症例の方の上の前歯だけをみると、やはり前に傾斜しており出っ歯だと感じてしまうのもよくわかります。
下の前歯の角度が中に傾斜しているのもわかりやすいかと思います。
受け口の程度が強い症例です。すきっぱのすきま自体はそこまで大きくはないですが、スペース不足が顕著でガタガタも強く顎の偏位もあり難しい症例です。この方のようにすきっぱを改善するには他の問題も解決しないといけないような症例や、すきっぱ以外にも八重歯が気になる場合なども部分矯正ではなく全顎矯正の適用となります。
上下小臼歯の抜歯とインプラントアンカーも使用し矯正治療を行いました。
この症例の方も上の前歯だけをみると、やはり前に傾斜しており出っ歯だと感じてしまうのもよくわかります。
いかがでしたでしょうか?
以前ご紹介したすきっぱの原因6つに加え、少しわかりにくい7つ目のすきっぱの原因についてご紹介させていただきました。
お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。
みやの矯正・小児歯科クリニック
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院長宮野 純一Junichi Miyano